レビー小体型認知症とは?|東京都墨田区の訪問診療・在宅医療|こころとからだの訪問診療 まつもとクリニック

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レビー小体型認知症とは?

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2025年5月01日

レビー小体型認知症とは?

レビー小体型認知症(DLB)は、アルツハイマー型認知症、血管性認知症に次いで多く、日本における認知症全体の10〜20%を占めるとされています。

この病気の名前は、脳内に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積することに由来しています。レビー小体はパーキンソン病とも関係のある物質であり、DLBでは記憶や思考だけでなく、運動機能や自律神経の調節にもさまざまな影響を及ぼします。

どんな症状が出るの?

DLBでは、記憶障害が目立たない場合も多く、認知症と気づかれずに受診が遅れてしまうこともあります。以下に代表的な症状をご紹介します。

▷ うつ症状

DLBでは他の認知症と比べてうつ症状を伴うことが多く、20〜35%の患者さんにみられるとされています。うつ病を疑って受診されるケースもあり、ほかの症状と重なることで診断が難しくなることがあります。

▷ 幻視(実際には存在しないものが見える)

DLBに特徴的な症状のひとつが幻視です。「部屋に子どもがいる」「壁に虫が這っている」など、実際には存在しないものが非常にリアルに見えることがあります。見える対象は比較的小さいものが多く、不思議と恐怖を訴える方は少ないのが特徴です。
ただし、ご本人にとっては現実と同じように感じられるため、「そんなものいないよ」と否定されると混乱や不安が強まり、「信じてもらえない」と感じてご家族との関係が悪化し、孤立を深めてしまうこともあります。

▷ 認知のゆらぎ(日や時間帯によって調子が違う)

アルツハイマー型認知症では比較的ゆるやかに進行するのが一般的ですが、DLBでは認知機能に日や時間帯による変動がみられます。たとえば、朝はしっかりしていたのに夕方にはぼんやりしている、ある日は会話がスムーズにできたのに翌日は反応が乏しい、というような変化が典型的です。

▷ パーキンソン症状(運動機能の障害)

DLBでは、パーキンソン病に似た運動障害がみられることがあります。手足のふるえ、動作の鈍さ、小刻み歩行、転倒しやすさ、無表情などが挙げられ、進行に伴って日常生活の中で身体的なサポートが必要になることもあります。

▷ 睡眠中の異常行動・自律神経の乱れ

夜間、夢の中の動きを実際に体で再現してしまう「レム睡眠行動障害(RBD)」や、便秘・立ちくらみ・発汗異常といった自律神経症状がしばしばみられます。

診断と治療について

DLBは症状が多岐にわたるため、診断が難しい認知症の一つです。正確な診断には精神科や神経内科などの専門的な知識と経験が必要です。

当院では、認知症診療に精通した医師がご自宅を訪問し、日常生活の様子や症状の経過を確認しながら診察を行います。頭部画像検査が必要と判断される場合には、連携する医療機関をご紹介することも可能です。

薬の使い方には注意が必要です

DLBでも、アルツハイマー型認知症と同様に、症状を緩和する目的で抗認知症薬が使われることがあります。

ただし、DLBの患者さんは薬に対する感受性が高く、とくに向精神薬(睡眠薬・抗うつ薬・抗精神病薬など)によって副作用が強く出ることがあるため、慎重な処方が求められます。
当院では、必要最小限の薬を丁寧に選び、副作用のリスクを抑えた安全な治療を重視しています。

訪問診療でできること

「幻視があるが、病院に連れて行くのが難しい」「日によって症状が違い、外来ではうまく伝えられない」──このような場合、訪問診療が大きな力になります。

ご自宅という自然な生活環境で診察を行うことで、より正確な状態の把握が可能です。
また、頭部画像検査が必要な場合でも、連携病院での検査後、結果を当院の医師が訪問時にご説明することも可能です。ご本人が病院へ出向く負担を最小限にしつつ、適切な医療をご自宅で受けられる体制を心がけています。

「気づくこと」が治療への第一歩です

次のような症状がみられたら、レビー小体型認知症の可能性があります:

  • 実際にはいない人や物が見える(幻視)
  • 日や時間帯によって頭のはっきり度が変わる
  • 転びやすくなった、動きが鈍くなった
  • 感情の起伏が乏しくなった、激しくなった
  • 夜間の寝言や叫び声、異常行動が増えた
  • 抑うつ状態に加えて、認知機能の低下がみられる

早期に気づいて適切に対応することで、進行をゆるやかにしたり、ご本人の生活の質を保つことが可能になります。

ご家族・支援者の皆さまへ

DLBは、認知機能、精神状態、身体機能のすべてに影響が及ぶため、対応が非常に難しい認知症のひとつです。

  • 「日によって症状の差が大きい」
  • 「幻視や妄想が続き、家族の負担が大きい」
  • 「転倒のリスクが高く、目が離せない」

このようなとき、専門医がご自宅で生活全体を見ながら診断・支援できる体制が、ご本人だけでなくご家族の安心にもつながります。

ひとりで悩まず、まずはご相談ください

レビー小体型認知症は、早期発見・正しい理解・適切な対応がとても重要です。
「なんとなくおかしい」「説明できない変化がある」と感じたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。

当院では、ご本人だけでなくご家族、地域の支援者の皆さまと連携しながら、安心して暮らせる環境づくりをお手伝いしています。

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