褥瘡管理
褥瘡管理
褥瘡(床ずれ)は、体のある部位が長時間圧迫されたことにより、その部位の血流がなくなった結果、組織が損傷されることです。損傷の程度は、次の2つの因子の相乗効果によって決まります。
すなわち、「時間×圧迫の力」で褥瘡の重症度が決定します。
健康な方に褥瘡は起こらないのは、この二つの因子が生体に影響を及ぼして組織が損傷される前に痛みやしびれを感じるため、寝返りや座り直すなどして、体位を変えるからです。したがって、褥瘡を発症しやすい方は以下のような方が考えられます。
褥瘡は数時間で発症してしまう場合もあるため、リスクが高い方は2、3時間ごとの体位交換が褥瘡の予防に非常に大切です。
褥瘡ができやすい部位では、2つの相反する方向の力が皮膚と軟部組織を圧迫する部位とされています。
具体的には、生体内の大きな骨と床から挟まれる部位で、下記が挙げられます。
褥瘡が発症すると約1週間から3週間までの間は急激に創部が変化するので、急性期褥瘡と呼びます。
この時期は皮膚の赤み(発赤)が持続したり、腫れたり(浮腫)、水ぶくれ(水疱)ができたり、表皮が剥がれたり(びらん)します。
褥瘡の重症度は組織の損傷が皮膚・軟部組織のどのレベルまで及ぶかに比例しますが、重症になると浸出液が多くなり、細菌によって化膿(感染)し、組織が白くなったり黒くなったり(壊死)します。
褥瘡の重症度分類は、日本褥瘡学会で定めたDESIGN-Rという分類があります。
急性期を過ぎた褥瘡を慢性期褥瘡と呼びます。この時期になると病変部の深さが正確に評価できるようになります。
褥瘡は数時間と短い時間で発症する可能性がありますが、治療は長い時間がかかる病気です。
従って、予防が非常に重要となります。
具体的には体位変換を理想的には2時間ごとに行う、クッションや体圧分散寝具を効果的に利用する、栄養の評価を行い改善する、スキンケアを行うことなどが有効です。
褥瘡予防の用具は介護保険の枠組みで用意することも可能な場合がありますので、介護認定を受けている方については、ケアマネージャーとも協力しながら対応していきます。
また、褥瘡も始めは小さな傷などではじまることが多く、活動性が低下している患者さんではこまめに後発部位を確認して、悪化する前に早期に対応することが大切です。
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