「たくさん薬を出されていませんか?」—薬剤起因性老年症候群と訪問診療でできること—|東京都墨田区の訪問診療・在宅医療|こころとからだの訪問診療 まつもとクリニック

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「たくさん薬を出されていませんか?」—薬剤起因性老年症候群と訪問診療でできること—

「たくさん薬を出されていませんか?」—薬剤起因性老年症候群と訪問診療でできること—|東京都墨田区の訪問診療・在宅医療|こころとからだの訪問診療 まつもとクリニック

2025年6月01日

高齢になると、持病が増えるにつれて薬の数も自然と増えていきます。高血圧やコレステロール、骨粗しょう症、不眠、不安……。


病院を受診するたびに「念のため」と薬が追加され、気がつけば1日10種類以上の薬を服用しているという方も、少なくありません。


しかし、その「たくさんの薬」が、かえってご本人の不調の原因になっている可能性があるとしたらどうでしょうか?


薬が原因で体調が悪くなっているかもしれません

このように、複数の薬を併用していることが原因で、本来なら出るはずのなかった症状が現れてしまう状態を、「薬剤起因性老年症候群(DIMS: drug-induced multi-morbidity syndrome)」といいます。


高齢者の「なんとなく体調が悪い」には、実は薬の影響が関係しているケースが少なくないのです。


たとえば、高齢の患者さんで
「最近ぼんやりしている」「転びやすくなった」「ご飯を食べなくなった」
といった変化が見られると、すぐに認知症や老化の進行を疑われがちですが、実は薬の副作用が原因となっていることも少なくありません。


不安や不眠に対する薬が日中の眠気やふらつきを引き起こしたり、抗コリン作用をもつ薬が注意力や記憶力の低下につながったりすることもあるため、薬による影響は慎重に見極める必要があります

薬の「整理」がなぜ必要?

高齢者は複数の診療科に通っていることが多く、それぞれの医療機関で処方された薬が統一されないまま重複したり、効果や副作用のバランスが取れていないことがあります。


さらに、服薬方法が複雑になることで、「飲み忘れ」「飲みすぎ」「飲み間違い」といったトラブルも起こりやすくなります。


そうした問題を予防するためには、「いま本当に必要な薬はどれか」を見極め、優先順位をつけて薬を整理していくことが重要です。


訪問診療と薬の整理

当院では、訪問診療の際に薬の内容も確認し、患者さん・ご家族と相談しながら、生活スタイルに合った服薬方法や薬の選定を行っています。


また、訪問薬局と連携し、薬剤師がご自宅まで薬をお届けし、残薬の確認、飲み忘れのチェック、お薬カレンダーへのセットなども対応しています。


訪問看護師とも連携して、実際の生活の中で無理のない薬の量やタイミングを一緒に考えることができるのも、訪問診療の大きな利点です。


必要があれば、処方を出した主治医と連絡をとりながら、薬の整理を進めていきます。

ご本人にもご家族にも、安心できる医療を

薬の数が多くなることは、ある意味で高齢者医療において避けがたい現実かもしれません。


しかし、「薬が多い=安心」ではなく、「薬を見直す=安心」につながることもあります。


薬剤起因性老年症候群にいち早く気づき、薬を見直すことで体調が改善し、生活の質(QOL)が向上するケースも少なくありません


「本当に今の薬、全部必要ですか?」


そんな問いから始める医療が、高齢者とそのご家族の生活を守る第一歩になるかもしれません。


どうぞお気軽にご相談ください。

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