患者さまのご家族の方へ
患者さまのご家族の方へ
これから訪問診療を検討されているご家族の皆様は、患者さんを自宅で支えることについて多くの不安を感じていらっしゃるかもしれません。大切なご家族が病を抱え、自宅での療養を希望されることは、ご家族にとって大きな心の支えであると同時に、責任を強く感じる瞬間でもあるでしょう。
「認知症が進行して徘徊が始まったらどうしよう」
「一人でトイレに行けなくなったら、食事ができなくなったらどうしよう」
「自宅で過ごさせてあげたいけど、苦しむ姿を見るのはつらい」
「病状が悪化したとき、本人が嫌がっていても入院させるべきだろうか」
このような不安や葛藤を抱え、「自宅で過ごさせてあげたい」という願いと、「本当に支えきれるのだろうか」という不安を同時に感じることは自然なことです。「こんなことを医者に相談していいのだろうか」と迷われる方も多いかもしれませんが、どうか遠慮なさらず私たちにご相談ください。
訪問診療は、通常の外来診療とは異なり、患者さんやご家族と深く関わりながら、病気の治療だけでなく、患者さんの人生そのものをどう支えるかを一緒に考える医療です。わからないことや心配なことがあれば、いつでもご相談いただけます。
ご家族にお願いしたいことは、無理をしすぎないということです。在宅医療において、ご家族は非常に重要な役割を担います。一方で、無理をしすぎて途中で息切れしてしまうと、最終的には患者さんにも良い結果をもたらしません。冷たく聞こえるかもしれませんが、継続可能な形で患者さんを支えることもまた大切です。
医療保険や介護保険、障害支援区分などの公的制度を活用し、定期的な訪問看護やヘルパーの利用、デイサービスやデイケアへの通所など、地域の医療・福祉関係者と連携して、患者さんの生活を支えていくことが可能です。ご家族には、ご家族にしかできない患者さんとの関わりを大切にしていただきたいと思います。
私たちは、ご家族の生活や負担を考慮しながら、患者さんが希望する生活を実現するため、治療だけでなく、さまざまな生活環境の調整やサポートの提案を行ってまいります。
また、このページをご覧のご家族の中には、統合失調症や双極性障害などの精神疾患を抱える患者さんについてお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。私たちは、入院後に病状が安定しても、退院後に薬の服用が不規則になったり、中断してしまうことで再発し、再び入院を繰り返す患者さんに多く出会ってきました。そして、そのたびに、繰り返す入退院に悩むご家族の姿も目の当たりにしてきました。
精神的な問題と訪問診療は、非常に親和性が高いと言われています。訪問診療を導入することで、治療中断のリスクを減らし、入院頻度や入院日数を減少させるだけでなく、患者さんが治療に積極的に参加しやすくなります。また、病状の悪化も周囲に早く察知されやすくなり、より早期に対応できるようになるとされています。実際、訪問診療を開始したことで、多数の入退院歴がある患者さんが入院せずに過ごせるようになったり、仮に入院しても短期間で退院し、安定した自宅生活を送れるようになったケースも多くあります。
繰り返す入退院に悩んでいるご家族の皆様、どうぞお気軽にご相談ください。
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